リトアニアの旅 4日目 ーカウナス【前編】

投稿日: 2025年10月19日 01:34

リトアニアの旅 4日目 ーカウナス【前編】

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【TRAVEL #3】 カウナス:歴史と民族が交差する場所 /Kaunas: Where History and Folklore Merge (day-3 in Lithuania)

カウナスの朝

カウナスの朝

リトアニア旅、4日目。
ちょっと肌寒い朝8時ですが、青空もでていい朝です。

ホテルをでて静かな街を歩いていくと、統一広場(Vienybės aikštė)
へたどり着きました。
ここはカウナスの中心地ともいえる場所です。

統一広場(Vienybės aikštė)

統一広場(Vienybės aikštė)

 広場の中央でまず目に留まるのは、静かに燃え続ける
『永遠の火(Amžinoji ugnis)』

リトアニアの自由を守るために命を捧げた人々、
とくに独立戦争で亡くなった兵士たちを追悼する炎です。
その隣には『無名戦士の墓(Nežinomo kareivio kapas)』があります。

 この広場の周りには、カウナスを象徴する建物が並んでおり、
ひとつは、『ヴィータウタス大公戦争博物館』
リトアニアの独立の歩みや当時の記録が展示され、
国の歴史をたどることができる場所です。

もうひとつは、やわらかなベージュ色の外壁が美しい『国立チュルリョーニス美術館』
 画家であり作曲家でもあったミカロユス・コンスタンティナス・チュルリョーニスの
幻想的な作品に出会えることで知られています。

 残念ながら、早朝ということもあり、館内には入れませんでしたが、
カウナスを訪れるなら、ぜひ足を運びたい場所です。

博物館・美術館情報

博物館・美術館情報

『 旅メモ 』

〇ヴィータウタス大公戦争博物館(Vytautas the Great War Museum)
住  所:K. Donelaičio g. 64, Kaunas 44248
営業日・開館時間:火~土 10:00–17:00(※曜日・季節によって変動あり)
見どころ:
 • リトアニアで最も古い博物館のひとつ
 • 建物はアールデコと初期機能主義を取り入れた様式
 • 館内には大公ヴィータウタス礼拝堂、武器や軍服のコレクション
   フォートレス防衛関連展示などがある。  
  • タワーには35鐘のカリヨンがあり、1937年から鐘の演奏が始まった。


〇国立チュルリョーニス美術館(M. K. Čiurlionis National Museum of Art)

住  所:V. Putvinskio g. 55, Kaunas, Lithuania
営業時間:火・金・土・日 10:00–18:00
     水・木     11:00–19:00
      ※月曜休館、入場は閉館30分前まで
見どころ:
 ・リトアニアを代表する画家であり作曲家
   ミカロユス・コンスタンティナス・チュルリョーニスの作品を所蔵。
 ・幻想的で音楽的な絵画が特徴で、館内は静かに彼の世界観に包まれている。
 ・国内最大級の美術館のひとつで、近現代アートや特別展も開催。

Yard Gallery(ヤードギャラリー)

Yard Gallery(ヤードギャラリー)

広場をあとにして、ゆっくりと街の中心へ。
しばらく進むと、Lietuvos bankas(リトアニア銀行)のある通りを進み、
E. Ozeskienės 通りに入ると、一角の壁に鮮やかな絵が描かれているのが目に留まりました。

ここはYard Gallery(ヤードギャラリー)。
ハリネズミや鳥、抽象的な模様など、カラフルなアートが並ぶ
小さな屋外ギャラリーです。

ごく普通の通りなのに、こうしたアートが街の一部として溶け込んでいるのがいいなと思いました。

E. Ozeskienės 通り

E. Ozeskienės 通り


E. Ozeskienės 通りを抜けると、カウナスのメインストリート、
Laisvės al.(自由通り)に出ました。

広々とした並木道の先まで、カフェやショップが並んでいます。
まだ開店前の店が多く、 コーヒーの準備をする音が聞こえてきました。

聖ゲルトルード教会

聖ゲルトルード教会

 通りを進むと、レンガ造りの『聖ゲルトルード教会』が見えてきました。
赤茶色の外壁が朝の光に照らされて、少し温かみを帯びています。
入口のそばには日本語の説明板があり、
こんな遠い国で母国語を見つけたことがうれしくて、思わず立ち止まりました。

残念ながらこちらも、開館前のため中には入れませんでしたが、外から見るだけでも
この教会が大切に守られてきた場所であることが伝わってきます。

『 旅メモ 』

〇聖ゲルトルード教会(Šv. Gertrūdos bažnyčia / St. Gertrude’s Church)

住  所:Laisvės alėja 101B, Kaunas, Lithuania
営業時間:不定(訪問時は早朝のため入場不可)
見どころ:
 ・15世紀に建てられた、カウナス最古の教会。
 ・リトアニア最古のレンガ造りゴシック建築のひとつで、歴史的          価値が高い。
 ・戦乱や火災を乗り越えて修復され、現在も礼拝が行われている。

Laisvės Alėjaを歩く

Laisvės Alėjaを歩く

聖ゲルトルード教会をあとにして、ゆっくりとLaisvės Alėja(自由通り)へ。
カウナスの中心をまっすぐに伸びるこの通りは、カウナスの暮らしが集まる場所。
 石畳の歩道と並木道が続き、カフェのテラスやブティックが点々と並んでいます。

最初に目に留まったのは、釣り人の像『Der Angler(デア・アングラー)』
竿を手に静かに座る姿がどこかユーモラスです。

その少し先には、市長を務めたヨナス・ヴィレイシスを記念するモニュメント『Sep Balti』
彼は20世紀初頭、カウナスの発展に尽力した人物で、市民の尊敬を今も集めています。

さらに進むと、石畳に埋め込まれた黄色い貝殻マークが目に入りました。
これは『Camino Santiago lituano(リトアニアのサンティアゴ巡礼路)の印』
スペインへと続く巡礼路の一部がこの通りを通っているそうです。
日本でいえば熊野古道のような存在で、かつて多くの人々が祈りや願いを胸に歩いた道。


やがて、白い柱が印象的なナショナル・カウナス・ドラマ劇場が見えてきます。
建物の上部には船をモチーフにした装飾が掲げられています。

劇場の向かいには、涼しげな水音を響かせる『Freedom Avenue Fountain』があり、
通りを行き交う人々が思い思いに腰を下ろしていました。

『 旅メモ 』

・Der Angler(釣り人の像)
住所:Laisvės alėja 75 付近, Kaunas
特徴:通り沿いのベンチに座る釣り人をかたどったブロンズ像。
   市民から“自由通りの見守り人”として親しまれている。

・Sep Baltic(Jonas Vileišis Monument)
住所:Laisvės alėja 68 付近, Kaunas
特徴:元カウナス市長ヨナス・ヴィレイシスを記念したモニュメント。
   「SEP BALTIC」の刻印は彼の信念“自由と誇り”を象徴している。

・Camino Santiago lituano(リトアニアのサンティアゴ巡礼路)
場所:Laisvės Alėjaを含むカウナス市街一帯
特徴:ヨーロッパ全土を結ぶ巡礼路の一部。
   黄色い貝殻マークが道に埋め込まれている。
   巡礼者たちが写真を撮る人気の小さなシンボル。


・National Kaunas Drama Theater(国立カウナス・ドラマ劇場)
住所:Laisvės alėja 71, Kaunas
特徴:リトアニア最古の国立劇場。
   1930年代に建設されたアールデコ様式の建物。
   建物上部には船の装飾があり、夜にはライトアップされる。


・Freedom Avenue Fountain(自由通りの噴水)
住所:Laisvės alėja & S. Daukanto g. の交差点付近
特徴:通りの中心を彩る噴水。
   昼は子どもたちの遊び場、夜はライトアップが美しい。

 映画の誕生を記念した銅像

映画の誕生を記念した銅像

もう少し歩くと、古い映画館ロムヴァ(Romuva)の前に
映画の誕生を記念した銅像『Skulptūra „Pirmas filmas“(最初の映画)』が立っています。

フィルムカメラを構える姿がリアルで、まるで撮影が始まる瞬間を切り取ったようでした。

『 旅メモ 』

Skulptūra „Pirmas filmas“(最初の映画)
住所:Romuva映画館前, Laisvės alėja 54 付近
特徴:映画の黎明期を記念して設置された銅像。
   カメラを構える姿がリアルで人気の撮影スポット。




Laisvės Alėjaの終点

Laisvės Alėjaの終点


通りの途中には、もう一つ印象的な場所があります。

第二次世界大戦中、オランダの名誉領事としてカウナスに滞在した
『ヤン・ズヴァルテンダイク(Jan Zwartendijk)』をたたえる記念碑です。
彼は、ナチスの迫害から逃れようとするユダヤ人に“命のビザ”を発給し、
6000人以上の命を救ったといわれています。
『 Memory Place Jan Zwartendijk』は、その勇気と人道精神を称える場所として、
今も多くの人が静かに足を止めるスポットです。

そして通りの先には、
白いドームを持つ『聖ミカエル教会(St. Michael the Archangel Church)』が見えてきます。

Laisvės Alėjaの終点に建つこの教会は、長い並木道を歩いてきた人々の目にまず入る場所です。
カウナスの街の静かな朝を印象づける建物でした。

『 旅メモ 』

・Memory Place Jan Zwartendijk(オランダ名誉領事記念碑)
住所:Laisvės alėja 29, Kaunas
特徴:第二次世界大戦中、ユダヤ人に“命のビザ”を発給したヤン・ズヴァルテンダイク
をたたえる記念碑。
  ・碑の形は「開かれたパスポート」をモチーフにしており、自由と希望の象徴となっている。

・Laisvės Alėja(自由通り)
概  要:カウナスの中心を東西に約1.6kmにわたって伸びるヨーロッパ最長級の歩行者通り。
見どころ:カフェ、ショップ、噴水、記念碑、劇場が集まる文化の中心地。
    ・通りの両端には聖ミカエル教会と旧市庁舎広場が位置し、
     街の東西をつなぐ軸となっている。

聖ミカエル教会

聖ミカエル教会

通りの先には、白いドームが印象的な『聖ミカエル教会(St. Michael the Archangel Church)』

通りを歩いてきた人々が自然と立ち止まるほど、その存在感は圧倒的です。
残念ながら中には入れませんでしたが、 外観だけでも十分に見応えがありました。
白い石造りの壁に太陽の光が反射し、
重厚でありながらもどこか優しい印象を受けます。

『 旅メモ 』

〇聖ミカエル教会(St. Michael the Archangel Church / Kauno Šv. Mykolo Arkangelo bažnyčia)

住  所:Nepriklausomybės a. 14, Kaunas
営業時間:9:00–18:00(※宗教行事や祝日により変更あり)
建  設:1891–1895年
建築様式:ネオビザンティン様式
見どころ・歴史:
 ・19世紀末、当時のロシア帝国軍の教会として建てられた。
 ・建築家コンスタンチン・リムデンスキーによる設計で、
  五つのドームと白い外壁が特徴的。
 ・第二次世界大戦後は倉庫として使われた時期もあり、
  リトアニア独立後に再びカトリック教会として修復・再開され た。
 ・内部には美しいステンドグラスと壮大な祭壇があり、カウナス市民にとって
   精神的なシンボルとなっている。
 ・現在は“自由通り”を象徴する建物のひとつで、通りの終点に立つその姿は、
カウナスの文化と信仰を物語っている。
・ロシア支配下の時代に建てられたため、カウナスの複雑な歴史を象徴する存在でもある。
 ・地元では“白い教会(Baltoji bažnyčia)”と呼ばれる


少し遅めの朝食を

少し遅めの朝食を

教会の白いドームをあとにして、少し歩いたところで
ふわりと甘い香りが漂ってきました。
香りの先にあったのは、小さなベーカリーカフェKepuklėlė Kimbo。
窓からのぞくと、ショーケースの中には焼きたてのクロワッサンや
クリーム入りのパンがずらりと。
少し遅めの朝食をここで取ることにしました。

『 旅メモ 』

 Kepuklėlė Kimbo(カフェ・ケプクレーレ・キンボ)
住  所:Laisvės alėja 37, Kaunas
営業時間:月〜金 8:00–19:00/土 9:00–18:00/日 9:00–16:00(※時期により変動あり)
おすすめ:
 ・サクサクのクロワッサンや、クリームの入ったブリオッシュが人気。
 ・エスプレッソからカフェオレまで種類豊富なコーヒーが楽しめる。
 ・店内はこぢんまりとして温かく、地元の人の朝時間の定番スポット。
 ・“Kepuklėlė”はリトアニア語で「小さな焼き菓子」の意味。
 ・テイクアウトして自由通りのベンチで食べるのもおすすめ。