リトアニアの旅 3日目 ーGudžiūnai編・十字架の丘編

投稿日: 2025年10月8日 17:58

リトアニアの旅 3日目 ーGudžiūnai編・十字架の丘編

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【TRAVEL #2】 シャウレイ~十字架の丘~圧倒的な存在感/Siauliai ~The Hill of Crosses~ Dominant Presence

Gudžiūnai編 幸せを運ぶコウノトリ

Gudžiūnai編 幸せを運ぶコウノトリ

カウナスを出発して間もなく、
車窓の向こうに広がったのは、穏やかなリトアニアの田園風景。
青々とした草原の中に電柱が立ち並び、
その上には、いくつもの大きな巣が見えました。
よく目を凝らすと、白と黒の羽を広げたコウノトリがゆっくりと羽ばたいています。

リトアニアでは「Gandras(ガンドラス)」と呼ばれるこの鳥は、
“幸せを運ぶ鳥”として、人々にとても大切にされています。
家のそばに巣を作ると幸運が訪れるといわれ、
村によっては、コウノトリのために巣台を立てて迎える習慣も今も残っているそうです。

普段はなかなか見られないと聞きますが、
この日は6月という季節もあってか、
道沿いのあちこちでコウノトリの姿を見かけました。
ちょうどヒナが育つ時期で、
巣の上では親鳥とヒナが並んで立つ姿も。
その穏やかな光景を見ていると、
胸の奥がじんわりとあたたかくなりました。
それにしても――

あんな高い電柱の上で巣を作って、危なくないんかな。
感動と同時に、そんな素朴な疑問も浮かんできました。

十字架の丘編 祈りが重なる丘

十字架の丘編 祈りが重なる丘

Gudžiūnaiの村をあとにして北へ走ること約1時間半。
10時半ごろ、「十字架の丘(Hill of Crosses)」に到着。

駐車場のそばには観光案内所(インフォメーション)があり、
お手洗いやお土産の小さな売店も並んでいます。
そこから丘までは徒歩でおよそ5〜7分ほど。
入口の門をくぐり、静かな小道をまっすぐ進むと、
やがて前方に無数の十字架が立ち並ぶ丘が姿を現しました。

この日は曇り空で、風が少し強め。
雲の切れ間から差す光が一瞬だけ丘を照らし、
そのたびに木製の十字架が小さく揺れて、カタカタと音を立てます。
晴れの日よりも、むしろこの重たい空がこの場所には似合っているように感じました。

十字架の丘(Hill of Crosses)

十字架の丘(Hill of Crosses)

この丘は、リトアニア北部・シャウレイ近郊にある巡礼地。

最初の十字架が立てられたのは19世紀。
戦争や政治の弾圧で命を落とした人々のために、
家族が“帰らぬ人への祈り”を込めて十字架を立てたのが始まりと言われています。

その後、ソ連時代には宗教が禁じられ、
十字架は何度も撤去されましたが、
人々は夜のうちに新しい十字架を立て続けました。
「信仰の自由を守る象徴」として、今も多くの人が世界中から訪れています。

現在、丘に立つ十字架の数は10万本以上とも言われ、
木製・金属製・石造りなど形もさまざま。
大きなものは人の背丈を超え、
小さな十字架はその根元に無数に重ねられています。

丘の上に立ち、ゆっくりと辺りを見渡すと、
遠くまで続く平原と、風の音だけが聞こえました。
観光地というより、
ここは人々の“祈りの記憶”が重なってできた場所なのだと感じます。

 また、丘の中では、何人かのボランティアの方が、壊れた十字架を丁寧に直したり、歩道に積もった落ち葉を静かに掃いたりと作業を。
祈りの場所を守るその姿に、そっと頭が下がるような思いです。

アクセスガイド & 次回の旅の予定

アクセスガイド & 次回の旅の予定

????アクセスメモ

所在地:Jurgaičiai, 81439, Šiauliai District Municipality, Lithuania
    Šiauliai(シャウレイ)郊外、カウナスから車で約2時間半
・駐車場:無料(観光案内所あり)
・徒歩距離:駐車場から丘まで約400〜500m/徒歩5〜7分
・所要時間:ゆっくり見学して約30〜40分


次回は:

コウノトリたちが見守る穏やかな田園をあとにして、
車はさらに北へ。
お昼どきには、森の中のレストランで郷土料理を味わい、
その後、小さな村にある木の吊り橋へ――
次回は、そんなリトアニアの“日常の風景”を訪ねます。