地下に広がるもう一つの世界へ

投稿日: 2025年7月24日 18:23

地下に広がるもう一つの世界へ

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【MUSEUMPASS #2】ベルギーの下水道博物館(Sewer Museum)に行ってみた!!!

ブリュッセル・下水道博物館を歩く旅

ブリュッセル・下水道博物館を歩く旅

ブリュッセル観光といえばグラン=プラスや小便小僧が定番。でも、今回はちょっと視点を変えて「街の下」に注目してみました。
訪れたのは、ブリュッセルの下水道をテーマにした珍しい博物館——Sewer Museum(Musée des Égouts)。
“え?下水道?”
そう思った方にこそ、ぜひ知ってほしい。ここには、都市の知られざる仕組み、そして人とインフラの深いつながりを感じられる体験が詰まっていたのです。

はじめての下水道ミュージアム

はじめての下水道ミュージアム

ブリュッセルの南西、静かな通り沿いに建つ小さな石造りの建物。看板に書かれた「Musée des Égouts」の文字がなければ、うっかり通り過ぎてしまいそうな場所です。
実はこの博物館、ブリュッセルの下水網の一部をそのまま展示空間として活用している、世界的にも珍しいスポット。年間およそ2万人以上の来場者が訪れています。
館内は思ったよりもしっかり整備されていて、明るく清潔。展示の一部は実際の下水トンネルに続いており、街の“裏側”に足を踏み入れるような感覚に包まれます。
行く際にはこんな点に注意すると安心です:
・滑りにくい靴を選ぶこと(通路は湿っている場所も)
・地下は肌寒いので、羽織りものがあると◎
・一部エリアは階段や狭い通路があるため、ベビーカーや車椅子利用の方は事前確認を

地下を歩く冒険

地下を歩く冒険

展示室の奥に進むと、いよいよ本物の下水道へとつながる階段が現れます。少し湿った空気と、ひんやりとした気温。まるで地中の洞窟に迷い込んだかのような不思議な感覚です。
目の前に広がるのは、アーチ状のレンガ造りのトンネル。19世紀につくられたこの構造物は、今なお使われている本物の下水道の一部。壁面には水のしぶきが残り、小川のような流れがゆっくりと足元を流れていきます。
音はなく、聞こえるのは水の音と、自分の足音だけ。観光地というよりは、“都市の裏側を覗き見る”感覚に近いかもしれません。
この地下空間では、街の歴史や生活が静かに息づいていました。華やかな観光名所とは対照的な、ブリュッセルのもう一つの顔に触れることができた瞬間でした。

静かな地下で出会ったもの

静かな地下で出会ったもの

ひんやりとした空気と、足音が反響する静かなトンネル。下水道の中を実際に歩く体験は、想像以上にリアルでちょっとスリリング。そして、何より強烈だったのがにおい。鼻にぐっと押し寄せるような、何とも言えない匂いに思わず顔をしかめてしまうけれど、それもまたこの場所の“本当”を知る大事な感覚でした。
ふと見上げると、頭上にマンホール。
その隙間から地上の光がこぼれ、歩く人の影がちらりと動きます。
ほんの数分前まで自分がいた場所が、まるで別世界に思える瞬間でした。

地上に戻ると、展示室では実際の作業員の姿を紹介する映像が流れていました。
制服を着て、あの空間の中で作業する人たちの真剣な表情。
ほんの短い動画でしたが、さっき歩いた空間とリンクして、じんわり胸に迫るものがありました。

また、19世紀の展示では、ブリュッセルが抱えていた衛生問題にも触れられていました。
当時は汚水が川に流れ込み、伝染病が広がる原因となったことから、都市は下水道整備に本腰を入れるようになったそうです。
この地下のインフラは、まさに「命を守る仕組み」だったんですね。博物館を出るころには、何気なく歩いていた街の道路が、少し違って見えていました。

イベント情報

イベント情報

Sewer Museum
Porte d’Anderlecht, 1000 Brussels City
火–日 10:00–17:00(月曜・祝日休)
入場料: 大人 €8/シニア&学生 €6/子ども(6–18才) €4/6才未満 無料 (2025年現在)

■ 毎月第1日曜は18才以下無料入場
■ 夏の「ナイトツアー」(18–22時):写真展・AR砂場ワークショップ・雨をテーマにしたコンサートも!
■親子&学校向けワークショップ:水・下水道を学べる参加型講座
■国際イベント連携**:「世界トイレの日」「Heritage Days」「Water Day」などに毎年参加

博物館公式サイト https://www.sewermuseum.brussels/fr/
Brussels Museumsの「イベントカレンダー」も要チェック!