中世の門からブリュッセルを一望 ― Porte de Hal

投稿日: 2025年8月2日 04:57

中世の門からブリュッセルを一望 ― Porte de Hal

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【MUSEUMPASS #1】Porte de Hal~鎧着てみた~

ポート・ド・ハルとは? 〜歴史の扉をくぐる〜

ポート・ド・ハルとは? 〜歴史の扉をくぐる〜

ブリュッセル南駅とルイーズ地区の間、静かにそびえる円形の塔――それが「ポート・ド・ハル(Porte de Hal)」です。
14世紀に城壁の一部として建てられたこの門は、現在、ブリュッセルに残る唯一の中世の門となっています。19世紀にはネオ・ゴシック様式に改修され、美しい装飾とともに歴史的な存在感を放っています。
内部は博物館として公開されており、中世の防御設備や武具、当時の生活文化を紹介する展示が並んでいます。


中世の防衛と武具

中世の防衛と武具

館内に入るとまず、地下や1階に設けられた展示エリアへ。
ここには中世の城壁を守った重厚な甲冑や武器、防衛用の模型展示が並びます。また、子どもから大人まで楽しめる「甲冑試着コーナー」がありました。実際に鎧を身につけて写真を撮ることができるのは、ここならではの体験です。

2階は市のギルド、つまり職人たちの社会的役割に焦点を当てた展示。
中世ブリュッセルの職人組合が盾や弓矢、商業道具をつくっていた背景を、実物や模型を通じて辿れます。
町を支える“力”が見えるフロアで、生活と技術、街の成り立ちを直感的に理解できるつくりになっています




臨時展&ミニチュアハウス

臨時展&ミニチュアハウス

3階は期間限定展覧会のスペースとして使われており、近年では「Magical Theatres」という紙芝居やミニチュア劇場をテーマにした展示が開催されました。
19世紀の家庭で親しまれたミニチュア劇場や、グリム童話/シェイクスピア作品まで再現された舞台が並び、子どもから大人まで心と目が踊る世界観です。
私たちが訪れた日は、旧ブリュッセルの映像が流れていました。


屋根裏スペースと最上階の回廊—街を見晴らす贅沢な時間

屋根裏スペースと最上階の回廊—街を見晴らす贅沢な時間

最上階の屋根裏は、小規模な展示やアートイベント向けの空間。
木組みの梁がむき出しになった天井は、ネオ・ゴシックのロマンチックな雰囲気を素朴に演出しています。

螺旋階段をのぼると、かつての城壁の上に造られた**回廊(バットルメント)**へ。そこからはブリュッセル市街が360°で望めます。
晴れた日にはアトミウムや司法宮なども遠望できます。

※現在は2025年3月から屋根と回廊部分が修復工事中のため、2027年冬までアクセス不可となっていますのでご注意ください



春の夜を彩る、ポート・ド・ハルの「Nocturnes」

春の夜を彩る、ポート・ド・ハルの「Nocturnes」

ポート・ド・ハルは、通常は日中の歴史博物館ですが、春の「Nocturnes」期間中にだけ訪れることのできる夜の異空間体験があります。現在で25回目です

毎年3月中旬から4月下旬までの7週間、複数の博物館が木曜の夜に特別開館する「Nocturnes」期間には、ポート・ド・ハルも夜の舞台になります
館内では、地元ブラスバンドによる歓迎演奏や、「メイブーム(Meyboom)」の巨人人形を担ぐワークショップなど、フォークロアを体験できるイベントが18:00〜22:00の間に行われます
特に、展示室を柔らかく照らすライトのグラデーションや、回廊での影の揺らめきは、夜ならではの美しさ。
螺旋階段を登り、かつて城壁だった回廊から夜景を眺めることができます。

中世の名残を今に伝える、ブリュッセルの隠れた名所ポート・ド・ハル。
歴史と景色を一度に楽しめるこの塔は、街歩きの途中にふらりといかがですか。